大切な人と、大切な時間を過ごしたい。
そう思ったとき、あなたはどこへ行きますか。
ここに、あのお店が起点になった物語があります。
*本記事は実話を基にした物語とフィクションを組み合わせて構成しています。物語作品としてお楽しみください。
思い出は永遠に (子どもの誕生日編)
子どもの頃、年に一度だけ、
おじいちゃんが連れていってくれる場所があった。
鉄板の熱、肉が触れる音、鼻の奥に残る香り。
幼い私はその前に座るたびに、肌で感じていた。
——ああ、私は、大切にされているんだ。
だから思った。 娘のえみにも、
この「愛の記憶」を届けたい。
変わっていく背中
二年前の誕生日は、個室を選んだ。
泣き出しはしないか、じっとしていられるか。
そんな心配ばかりが先立っていた。
今年は迷わず、カウンターを選んだ。
それだけで、この子がどれほど大きくなったか、わかる気がしたから。
当日、えみは一番お気に入りのワンピースを着て、
幼稚園の王冠をかぶって現れた。
その目は、鉄板の炎よりも、ずっときらきらと輝いていた。

止まった時間
目の前でシェフが、穏やかに娘へ語りかけた。
その瞬間、私は息を呑んだ。
あの人見知りの娘が。
知らない大人と目を合わせることすらできなかった、あのえみが。
シェフの顔をまっすぐ見て、小さな、でも確かな声で、返事をしたのだ。
ジュウ、という鉄板の音だけが響く中で、 目の奥が、静かに熱くなった。
愛は、手から手へ
帰り道、えみの小さな手を握った。
繋いだ手のひらは、驚くほど温かかった。
おじいちゃんが私にくれた、あの日の「温度」と同じだった。
ここは、愛の記憶が生まれる場所だと思う。
いつかこの子が迷い、立ち止まったとき、
今夜の熱が、胸の奥でそっと灯りますように。

後回しにしてきた日(結婚記念日編)
結婚記念日を、2人でお祝いしたことが
何年もなかった。
子どもが生まれてから、
気づけばずっと後回しにしてきた。
でもその日は違った。
子どもを保育園に送り出して、
少しだけ丁寧に支度をした。
きっかけは、あのお店だった
友人たちと訪れたあのお店。
その日の夜、すぐに夫に話した。
「すごく素敵なところがあって。 結婚記念日に、一緒に行きたい」
モダンな外観、お店に入るまでの雰囲気。
扉が開いた瞬間、ホテルに来たような気分だった。
夫が言った。 「いいね」
それだけで、来て良かったと思った。
顔を見合わせて、笑った
個室に案内されて、2人で座った。
配膳も、スタッフの所作も、
どこかホテルのような静かな丁寧さがあった。
料理が運ばれてくるたびに、自然と声が出た。
「きれいだね」
「これ、お茶なんだって」
「え、全然わからなかった」
顔を見合わせて、笑った。
久しぶりに、こんなふうに笑った気がした。

気づいたら、ずっと話していた
子どものこと。
これからのこと。
なんでもないこと。
ゆっくり話す時間が、
こんなにも久しぶりだったんだと思った。
帰り道、「また来ようね」と言った。
「来年も」と夫が言った。
後回しにできない時間がある
あのお店に来るたびに、
大切なことを思い出させてくれる気がする。
日々の忙しさの中で、
つい後回しにしてしまう、2人の時間。
でも本当は、後回しにできない時間がある。

それを気づかせてくれる場所があった。
この子の100日は、この子だけのもの(百日お祝い編)
第一子のお祝いは、まるでお祭りのようだった。
両家の祖父母が勢揃いし、華やかな祝膳を囲んだ。
写真の中の私は、
慣れない育児に手一杯になりながらも、
どこか晴れがましい顔をしていた。
だから、二人目の時も同じ景色が待っていると、
疑いもしなかった。
でも、現実は、二人目だから、簡単でいいよね。
そんな空気が、どこからともなく漂ってきた。
この子には関係ないのに。
あなたにとっては、初めての100日なのに。
その一心が、私を突き動かしていた。
調べる時間も、余裕もなかった
上の子の世話をしながら、
赤ちゃんのペースに合わせて、
一日があっという間に終わっていく。
ネットで調べては、閉じて。
また調べては、閉じて。
そんな時、ふと友人の言葉が蘇った。
導かれるように開いたページには、
モダンな鉄板焼きレストランの「お食い初めプラン」の文字。
「あ、ここだ」
予約ボタンを押した瞬間、
張り詰めていた心の糸が、少しだけ緩んだ。

扉を開けたら、安心があった
スタッフのさりげない目配り、
上の子への自然な配慮。
「お母さん、大丈夫ですよ」と言われているような、
心地よい空気が流れていた。
祖父母たちの笑い声と、
夢中で肉を頬張る上の子。
きょとんとした顔でみんなを見つめる、
主役の赤ちゃん。
すとんと、胸の支えが取れた。
この子の100日は、この子だけの物語
諦めなくて、本当によかった。
鉄板から伝わる確かな熱と、和牛の香り。
それは、私が私自身に「よくやった」と納得できた、
特別な一日の香りだった。

3つの物語の舞台
大切な人との時間に、ふさわしい場所がある。
おおいた和牛の鉄板焼きと季節の恵みを纏った日本料理。
五感で味わう、大分の非日常。
鉄板kaiseki叶羽 ~modern japanese style~
住所:大分市豊町二丁目3番1号
電話:097-511-9582
営業時間:ランチ11時〜 ディナー17時30分〜
受付時間:9時〜 21時
定休日:水曜日
客席:カウンター/個室/ホール
最大収容人数:50人
駐車場:有
HP:https://teppan-towa.jp/
