コラム

子育て家庭だからこそ考えたい「わが家の防災」

令和8年7月28日に発生した「令和8年熊本地震」では、最大震度7の激しい揺れが観測され、ここ九州各地でも大きな揺れを経験しました。
被害を受けられた皆様に心よりお見舞い申し上げます。



突然の揺れに「子どもをどう守ればいいの?」「備えを見直さなきゃ…」と不安を感じた方も多かったのではないでしょうか。

ママ集まれ!にも、ママたちから

  • 「防災リュックに何を準備したらいいのか分からない…」
  • 「市販の防災セットも売っているけれど、もっと子育て中の家庭にぴったりの備えを知りたい!」

といったリアルなお悩みの声がたくさん届いています。

そこで今回は、以前大分のママ集まれ!が婦人会さんたち地域の女性たちと一緒に行った「防災セミナー」の内容をベースに、講師を務めた田中舞さんが、ママのために特別に再編成して執筆してくれました!

舞さんは、元大分DMAT隊員(災害派遣医療チーム)であり、現在は看護専門学校で教員を務めながら10歳の三つ子を育てるママでもあります。

女性の視点や、プロとしての専門知識、そして同じ「子育てママ」としてのリアルな目線がギュッと詰まった内容になっています。
ぜひ参考にしてみてくださいね!

我が家の成長に合わせてつくるわが家サイズの防災

はじめまして!
看護専門学校で教員を務めながら、10歳の三つ子を育てている田中舞です。
私は東日本大震災の際に、大分赤十字病院の救護員として宮城県石巻市で救護活動に携わり経験があります。


そんな私も、三つ子がまだ生後2か月の頃に平成28年熊本地震が発生し、大分でも震度5弱の揺れを経験しました。
揺れる部屋の中で「この子たちをどうやって守ればいいのだろう」と必死に抱きかかえ、頭を悩ませたことを今でも鮮明に覚えています。

母親として、そして看護師として災害と向き合う中で強く感じているのは、防災は「完璧を目指さなくていい」ということ。

大切なのは、それぞれの家庭や子どもの成長に合った「続けられる備え」を行うことです

今回は、我が家の備えについて紹介させていただきます。

1. 防災の基本:「持ち出し品」と「自宅備蓄」を分けて考えよう

私が防災を考えるときは、備えを2つのステップに分けて整理しています。

  1. 自宅での備蓄
    • ライフラインが止まった場合に備え、自宅で過ごすための水や食料(3〜7日分程度)
  2. 非常持ち出し品(防災リュック)
    • 避難するときに「すぐ持って逃げる」最低限のグッズ。

災害時は、被害の状況によって避難所へ行く場合もあれば、慣れ親しんだ自宅で過ごせる場合もあります。
どちらのパターンになっても対応できるように準備しておくと安心につながります。

①わが家の自宅備蓄

わが家では、自宅で過ごすための備蓄として以下のものをダンボール等にまとめて準備しています。

  • レトルト食品(保存食・アルファ米など)
  • 非常用トイレセット
    ※自宅の水道が止まって使えなくなることがあります。水は1人1日3L(飲料・調理用)が備蓄の目安と言われています。備蓄としてしっかり準備しておくと安心です!

また、普段使っている日用品や食料品を少し多めにストックしておく「日常備蓄」も取り入れやすい備えの一つ。

②わが家の防災リュックの中身をご紹介

わが家で実際に準備している「非常持ち出し品」をご紹介します。

【基本的な備え】

  • 水、保存食
  • 携帯トイレ
  • ※避難所などのトイレはみんなで使うため、排泄物が詰まったりして使えなくなるケースが出てきます。携帯トイレをリュックにも準備しておくと安心ですよ!
  • 防寒具、軍手、ライト、ラジオ
  • モバイルバッテリー、充電ケーブル
  • 紙コップ、ラップ、ポリ袋(大きめのゴミ袋)
  • 現金、ホイッスル、ティッシュ、マスク、歯ブラシ

【子どもの持病・体調に合わせた備え

わが家は娘に喘息があるため、吸入薬や常備薬は、いざという時にすぐ持ち出せるようひとまとめにして保管しています。

東日本大震災の救護現場では、「普段飲んでいる薬が手元になくて困った」という被災者の方のお声をたくさん伺いました。

持病があるお子さんやご家族がいる場合は、主治医や薬剤師さんに「災害時の備え」について事前に相談しておくと安心です。
※お薬手帳や処方内容が分かるもののコピーも、一緒にリュックへ入れておきましょう。

2. 乳幼児ママに必要な備え&子どもの心のケア対策

  • 母子手帳、健康保険の資格情報(マイナ保険証など)の控え
  • オムツ、おしり拭き、抱っこひも
  • 液体ミルク、離乳食、授乳ケープ
  • 生理用品
  • 食物アレルギーがあるお子さんの「食べ慣れた食品」
  • おしり拭き、ラップ、大きめのゴミ袋
    (おしり拭きやラップ、大きめのゴミ袋は、災害時にも多目的に役立つ万能アイテム)
  • 食べ慣れたお気に入りのお菓子、お気に入りのおもちゃ、絵本など
    ※非常時には小さなお子さんほど不安を感じやすいため、見慣れたものや好きな味があると「心の安心」につながります。

ママのワンポイントアドバイス

乳幼児や持病のあるお子さんがいるご家庭など、家族構成によって必要な物はガラリと変わります。
防災リュックは一度背負って歩いてみて、「ママが子どもを抱っこしながら持てる重さか?」を必ず確認しておきましょう!
無理なく持ち運べる重さか確認しておくと安心です。

3. 子どもの成長に合わせて「年2回」見直そう!

防災リュックは、一度作ったら終わりではありません。
子どもの服のサイズが大きくなったり、必要なケアが変わったりするように、備えもアップデートが必要です。

目安は「年に2回」。

わが家では、わかりやすく「衣替えのタイミング」でリュックを開けて、衣服のサイズや非常食の賞味期限をチェックしています。

4. 小学生になったら「自分リュック」を一緒に作ろう!

お子さんが小学生くらいになったら、ぜひ子ども自身の防災リュックを一緒に準備してみてください。

「地震のとき、何があると安心かな?」と声をかけ、自分で考えてもらうのがポイントです。

わが家の子どもリュックの中身

  • 水、レインコート、軍手、タオル
  • 本やお菓子(子ども自身が「あると安心」と思うもの)

  • 1日分の着替えセット(水色の袋の中身)
    • 長袖
    • 長ズボン
    • 半袖
    • 下着
    • 靴下

気温の変化に対応できるよう長袖・半袖の両方をセットにしています。
ご家庭の状況に合わせて、旅行の準備みたいに数日分用意しておくのも良いと思います!

日頃から親子で会話をしておきましょう!

  • 「もし地震が起きたらどうする?」
  • 「家族と離ればなれになったら、どこで待ち合わせる?」

といったお約束を普段から話し合っておくことも、とても大切な「目に見えない備え」になります。

【まとめ】できることから、少しずつ

災害はいつ起こるか分かりません。
そして、「完璧な防災」を目指して気負う必要はありませんよ。
この記事が、それぞれの家庭に合った「続けられる備え」を見直すきっかけになればと思います。




田中 舞さん|看護師・看護専門学校教員/「大分のママ集まれ!」代表

看護師として外科病棟、手術室、救急外来での勤務を経て、東日本大震災時は大分赤十字病院の救護員として宮城県石巻市で活動。
現在は看護専門学校で教鞭を執る傍ら、10歳になる三つ子の母として育児に奮闘中。自身の多胎育児経験から大分のママ集まれ!多胎児ママサークルを立ち上げ、2025年より現職。医療・教育の現場で培った知見と、リアルな母親の視点を活かし、大分の子育て世代が孤立せず笑顔で繋がれる温かい居場所づくりに注力している。

※紹介された災害の備えについての内容は、令和6年度「女性の地域活動実践力向上支援事業モデル事業」(合同会社co-e connect受託)において実施された「防災を通じた世代間交流セミナー」の内容を基に再編成しています。

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