コラム:暮らし

自分を活かし、人を支える|森田典子さんインタビュー

人生は選択の連続。

何を食べようか、どの洋服を着ようか。

誰もが多かれ少なかれ「よりよい1日にするために」選んでいることでしょう。

よりよい1日のための選択が、よりよい人生をつくる
今注目のWellbeing(ウェルビーイング)にもつながる考え方です。

今回ご紹介する女性は、ご自身の「幸せな状態」を見つけてウェルビーイングを体現しているあの方。

「ママ」でも「妻」でもなく、「わたし」として生きるためのヒントをお届けします♪

連載6人目は「大分のママ集まれ!」副代表の森田典子さん。
山口県で英語教師として勤めたのち、結婚のため大分へ。親子英語リトミック教室の立ち上げから運営を経て現在は

・合同会社co-e connect 役員
・「大分のママ集まれ!」副代表
・親子関係の専門家

として活動中。

あれもこれも頑張りがちな人にぜひ聞いてほしい「そのままのあなたで十分だよ」という典子さんからのメッセージ。

―元々英語の先生をされていて結婚を機に一度退職。その後、親子の英語教室を開かれていたとか。

私はずっと英語と異文化が好きで、子どもたちにも私の「好き」を理解してもらえたら嬉しいなと思っていました。

できれば子どもたちにも英語を好きになってもらいたい。県外出身で友達がいなかったこともあり、ママのお友達ができたらいいな……。そんな思いで、英語教室を探していました。

親子で楽しい空間を。しかも英語で」という子育てサロンみたいな教室を求めていたんですが、当時はそういう教室がなかったんです。

ないなら作っちゃえ!」という軽いノリで「親子で英語を楽しめるリトミック教室」を開講。

最終的に3つの教室を運営するまでになりました。

子どもを産んで育てている時も幸せだったのですが、やりがいや生きがいを感じているかと言われると、10のうちの5か6くらいで。ちょっともの足りなさを感じていました。

自分にできることで、しかも報酬を得られることに魅力を感じ、思い切って挑戦。

大変なこともたくさんあったけれど、楽しさが増え、結果的に生きがいのようになっていたなと思います。

コロナをきっかけに英語教室を終了。ママたちへの支援を仕事に

―英語教室から今のお仕事へシフトされた経緯を教えていただけますか?

英語教室を手放したのは、コロナがきっかけです。

実はコロナの1年前くらいから教室を誰かに引き継ぎたいなという構想を持っていました。

英語教室って、子どもたちを相手にするからすごくエネルギーを使うんです。この働き方が10年後も続けられるかな、体力あるかな……と考え始めたタイミングでした。

若い先生からエネルギッシュに教えてもらった方が子どもも楽しいでしょうし、先生をやりたいっていう人がいたら、活躍の場を提供できるんじゃないかなって。

いろいろ考えてはいたんですが、軌道にのらないままコロナになり、教室が開催できなくなりました。先が見えない中で、再開するかどうか決まらないままいるよりも、一度ゼロにした方がいいと判断し、教室を閉じることに。

そのタイミングで「大分のママ集まれ!」代表の本室に声をかけてもらい、ママたちへの支援活動を始めました。

人知れず抱えていた葛藤を活動の糧にして

今まであまり人に言ったことはないんですが、英語教室をやめたことに対して罪悪感をずっと持っているんです。

本来は誰かに譲って、いい形で引き継いでいこうと思っていたのに急に手放すことになってしまった。

今は「大分のママ集まれ!」の副代表や「親子関係の専門家」として活動していますが、働き方や見え方がそれまでとはまったく違っている。

英語の生徒さんたちは今の私を見てどう思うかな、あんなに熱を込めてやっていたことが本気じゃなかったのかなと思われたりするんじゃないか、と自分を責めるときもあります。

私の中では英語を教えるのがメインというより、根本には「親子で楽しめる空間」を作りたいという気持ちがあった。
子どもたちが成長し、思春期になっても「親子で楽しくいるために」活動するという理念に変わりはないんです。

ただ、当時の生徒さんたちから「今の私ってどう見えているのかな?」と思うところはありますね。素敵な人たちが来てくれていたので、こんな罪悪感を抱えているのは私だけだとは思うんですが。

その分、今の仕事を頑張らないといけないなと自分を奮い立たせています。

親子関係の専門家としてリスタート

英語教室を閉めたあと「大分のママ集まれ!」でたくさんのママたちと出会い、声を聞くようになりました。

ママたちとの交流を通して「お母さんが頑張らなくても、もっと肩の力を抜いた形で、それぞれがよいところを伸ばして子育てできたらいい」と思うように。

私の役割は、一人ひとりがそんな子育てができるように手助けしてあげること

「こういう考え方を知っているとうまく声かけできるよ」
「あなたや、あなたのお子さんはこういう特性があるから、声かけはこんな風にすると効果的だよ」

これまでに培った知識や経験から、このようなアドバイスをさせてもらっています。

強みを探求するより、今あるよいものを活かす

―典子さんの活動の根底には自分の人生をよくしていこう、という思いがあるんでしょうか?

自分の人生をよくしたいというより「私が持っているもので誰かの役に立つなら提供します」のスタンスが強いかもしれません。それが私にとっての幸せなんだと思う。

「自分をよりよく」とか「自分の個性を磨いて強みを生かして仕事をする」とかってよく言うでしょ。でも正直、そればっかり考えていたら疲れますよ(笑)。

それよりも「自分がすでに持っているよいものを活かして、誰のためによくありたいか」とか「自分の得意なことでどう貢献できるか」って考えた方が楽じゃないかなって思いますね。

子どもたちやママたちへのメッセージ

子どもたちにはとにかく、自分の好きなことをやってほしい
楽しくてワクワクします、というものに出会える人ってすごくラッキーだし、幸せだと思いませんか?
結婚相手と出会えるくらい貴重なことかもしれない。夢中になれるものを本人が見つけられて、頑張っていってもらえたらいいなと思っています。

自分自身もそういう生き方を子どもたちに与えられるような人間でいたいですね。

仕事の面では、女性の活躍を応援していきたい
子育てしながら女性が働くってなると、子どものスケジュールに合わせて自分の予定が左右されることっていっぱいありますよね。

自分がやりたいことをセーブすることもあるけれど、それが犠牲だとか子どもがいるから仕方ない、じゃなくて子どもと一緒に成長していけるような女性がたくさん増えてくれたら嬉しいなと思っています。

▲左がライター新宮、右が典子さん

インタビュー内容はYoutubeにも公開中

今回の取材内容は動画でもお楽しみいただけます。
全編はこちらから





取材を終えて

典子さんの明るい笑顔の裏に人知れず抱える葛藤があったことに驚きました。そのような過去が現在の強くて優しい、サポーティブな典子さんの源となっているのでは、と感じます。

また「よりよく」「もっともっと」と気負いがちな風潮に対して「そんなに頑張らなくていいんだよ」「今のあなたで十分素晴らしいよ」というメッセージを受け取りました。

典子さん、ありがとうございました!