本来受けられるはずのサポートが受けられないまま出産を迎えた方はたくさんいらっしゃると思います。マタニティ教室や立ち会い分娩、里帰り出産などのささやかなながらも大事にしていたバースプランに我慢を強いられてきたのではないでしょうか。
今回は不安や孤独を抱えたままスタートした産褥期(産後6〜8週間)、少しでも心が軽くなるよう、いくつか実践してほしいことを挙げました。
赤ちゃんは泣いていい
外出自粛に伴い、家で赤ちゃんと二人きりになる時間が多いママから「泣き止まない時、一人でどうしていいのか分からない」というご相談は多く、寝不足が続く余裕のない中、ずっと抱っこして過ごしているという方も少なくありません。
もし、赤ちゃんの体調も良く、授乳やおむつ交換など考えつく事を満たしてあげても泣き続ける場合、そのまま泣かせておいて大丈夫です。泣くことは赤ちゃんにとって唯一の表現方法ですが、原因がはっきりしている時もあれば、理由の分からない時もたくさんあります。
泣くには大きく息を吸って吐かなければなりませんので、つまりはしっかり呼吸をしている証拠。「ママここにいるよ」などと声をかけながら添い寝したり、安全な場所に寝かせて家事を進めたりしても構いません。
泣き声自体が辛く感じる時には、赤ちゃんと離れて別室に行き、気持ちが落ち着くのを待つのも良いでしょう。
しかし、1ヶ月ほど過ぎると、赤ちゃんが何を求めて泣いているのか少しずつ分かるようになります。そうすると動揺する事も減り「ちょっと楽になってきた」と感じるママが多いようです。眠っている時のモゾモゾとした動きや息づかいを察して「そろそろかな」と授乳の準備をするなど、激しく泣く前に対応することもあるでしょう。
こういう時はこうしたら良かった、というママの試行錯誤した経験の積み重ねがきっと自信につながっていきます。
「こうしなきゃ」に苦しまない
「母乳育児」「標準体重」「お母さんらしく」たくさんの理想ありますよね。どれも我が子を思えばこそ、良い事ならしてあげたいものです。また習慣としていた家事を、出産前と同じようにこなしたい気持ちもあるかもしれません。どれも赤ちゃんや家族を思ってのこと。
ただ、もし辛いと感じているのなら‥。
「労力」=「ママの愛情」とはかぎりません。ふと笑顔がこぼれる余裕を残せるまでがキャパシティだと思うのです。ママの体と心が健康であってこその育児。疲れたなと感じたら「やらなきゃ」と頑張ってきたお世話や家事の内容を見直してみましょう。優先順位の低いいくつか、手放せるものがあるかもしれません。
育児支援サービスを味方に
出生連絡票
母子手帳にはさまっているハガキのことです。出産後だれもが利用でき、投函すると助産師や保健師などの訪問員から連絡があり、スケジュールを確認して自宅に来ます。
「家の中のチェックでしょ?」と聞かれることがありますが、そうではありません。
赤ちゃんの体重やおっぱいの量を測ったり、ミルクの増やし方などの色々な相談にこたえます。授乳の姿勢や赤ちゃんの寝具など、自宅でのいつも通りを見せて頂くことで出来るアドバイスもあります。里帰り先でも利用可能。病院で伝えきれなかった情報もたくさんお伝えします。
地区担当の保健師さん
お住まいの地域に母子保健を担当する保健師さんが必ずいます。「母乳やミルクに苦労している」「頼る人がいない」などの解決策や利用できるサービスを紹介してくれます。中には産後の家事支援や、コロナの心配で里帰りできないママへの支援もあります。気軽に相談してみましょう。
保育施設の一時預かり
預けることが逆にストレスに感じてしまうママもいるかもしれません。ほんの1時間でも赤ちゃんと離れて自分の時間をもつことで元気が取り戻せます。
美容室で過ごす1時間、掃除をする1時間。事前登録や面接が必要ですので、あらかじめ安心できる施設をご自身の目で確かめておきましょう。リフレッシュ目的で預ける事に、罪悪感を抱く必要はありません。
このしんどさには終わりがある
体も心も不安定な産褥期は、出口の見えないトンネルの中にいるようです。ただ産後1ヶ月を過ぎ、また更に月経が回復すると、卵巣から女性ホルモンが分泌されるようになり妊娠前の状態に戻ります。個人差はありますが、半年から1年ぐらいが目安です。その頃になると「すっかり楽になったな」と感じるママが多いようです。
赤ちゃんとのお出かけが楽しく思えたり、パパとの時間も大事にしたくなったり、必ず余裕を取り戻せます。
最後に
重い荷物を持って立っていれば、誰かに半分持って欲しいし椅子に座りたくなりますよね。育児も同じ、ひとりでたくさん抱えていればパンクします。さらにコロナ禍という過酷な状況です。もう十分頑張っている自分にOKを出して、気楽な育児を選んでください。
出産を終え育児をスタートした頑張るママ達が、どうか穏やかに過ごせることを心から願います。