コラム:子育て

わが子に「学校に行きたくない」と言われたら

「学校行きたくない…」「今日は学校休みたい…」突然わが子にそう言われたら、あなたならどう答えますか?2021年10月、文部科学省は「2020年度に不登校と認定された小・中学生は19万人を超え、過去最多を記録した」と発表しました。8年連続で増えて続けている不登校の子どもたち。

今や不登校は「誰にでも起こりうること」だと言われています。

不登校になるのはなぜ?

子どもが「学校に行きたくない」と思う理由は、言うまでもなく千差万別です。「勉強がわからない」「友達関係がうまくいかない」「先生と合わない」というような具体的なものから、「なんとなくきつい」「行きたい気持ちはあるけど、起きれない…」「学校に行く意義が見出せない」などなど、具体的な理由がはっきりとはわからないものもあります。

ついつい大人は何か具体的な原因があり、それを解決しなきゃと思いがちですが、特に低学年の子どもたちは、まだ自分の気持ちを言葉に表すことが難しい場合も多いです。

もし、子どもが「学校に行きたくない」と言ったときには、焦らず、まずはその気持ちをそのまま受け止めてあげてください。少し理由を聞いても原因がわからなかったり、本人が話したくないような様子だったら、しばらくそっとして、安心できる環境でゆっくり心と身体を休ませることが大切です。

少しずつ元気を取り戻してきたら、図書館や映画館、美術館など、その子の興味があることがある場所に一緒に行くことから始めてみてください。

「その日一日をその子らしく楽しく過ごす」ことが何よりも大切です。

学校に行くのは子どもの”義務”?

義務ではなく、権利です

憲法では、子どもが教育を受ける「権利」をもっていること、そして保護者は子どもに普通教育を受けさせる「義務」があることが示されています。これは、虐待などにより、保護者が子どもに教育を受けさせないことがないように「義務」とされています。

つまり、子どもたちは、学校に行く「権利」をもっているのであり、学校に行く「義務」はないのです。

また、この「普通教育」とは、私立や公立の学校に限られたものではなく、子どもの基本的人権を大切にしながら行われる教育を広く含みます。もし、子どもが不登校になっても、「義務教育なんだから学校に行かせなきゃ」と無理矢理学校に行かせる必要はないのです。 

全国に増え続ける「多様な学び場」

年々増え続ける不登校の現状を受け、2017年には「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」、通称「普通教育確保法」が公布されました。この法律は、不登校の子どもたちに学校以外の「多様な学び場」を提供することを目的とした法律です。

これによって、全国にある「フリースクール」や「オルタナティブスクール」などの民間の教育機関が「普通教育に相当する学校」として認められ、学校の出席日数に認められることも増えてきました。年々「多様な学び場」を求める声は高まっており、その数も年々増えてきています。現在、大分県には20箇所の「多様な学び場」があります。

おわりに

今回のコラムでは、不登校の概要についてまとめました。少しお堅い内容になってしまいました…。次回のコラムでは、日本における「フリースクール」や「オルタナティブスクール」の現状や私が現在運営しているオルタナティブスクール「ここのね自由な学校」で子どもたちがどんな風に過ごしているか、子どもたちと関わる中で大切にしていることについて書いていきたいと思います。

最後になりましたが、もし、突然わが子が「学校に行きたくない」と言い出したら、どんなに知識があっても子どもの将来や自分の仕事、生活のことも考え、不安や心配な気持ちでいっぱいになると思います。真面目で頑張り屋のお母さんほど、「私の子育てがダメだったのかしら」と自分で自分を責めてしまうかもしれません。

そんな時は、子どもたちの気持ちを受け止めるときと同じように、まずは自分自身で自分の気持ちを優しく受け止めてあげてください。そして一人で悩まず、身近にいる人に話を聴いてもらってくださいね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

ABOUT ME
秋篠奈菜絵
秋篠奈菜絵
8歳と6歳の男の子の母です♩ 元小学校教諭で現在大分県豊後大野市で『ここのね自由な学校』というオルタナティブスクールを立ち上げています。 子育てや学校づくりを通して、私自身が学んだことを言葉にして伝えていけたらと思います。よろしくお願いします♩