私は今、「人権」を絶賛勉強中です。
以前の私は、人権=難しい、面倒、差別はいけないってことくらいわかってるし!って感
じでした。
でもね、県庁生活最後の2年間に人権を担当させてもらって、自分の中の「無意識の偏見
」に気づかせてもらえたし、孫や未来を担う子どもたちと豊かな関りを持つための「傾聴
」も知ることができたし…等々、心底感謝してるんです。
私自身、忙しさにかまけて大人の都合優先、子どもの気持ちは後回しの子育てでした。そ
んな反省も込めて、今回は、子育て中の皆さんと一緒に、人権の大切さや面白さを考えて
みたいと思います。難しく考えずに、どうぞお付き合いください。
基準は、自分がされて嫌なこと?
「自分がされて嫌なことは相手にしない」
よく間違って使われるのが、「自分がされて嫌なことは相手にしない」
いじめを自分ごととして考えることは大切だけど、それを伝えるために、つい、こんな言
い方をしていませんか?いじめを自分基準で考えていては、加害者も傍観者もなくせませ
ん。相手がイヤ!ならダメなんですよ!セクハラもパワハラも、どんなハラスメントも同
じ。
こどもルームでの心の声 あなたらならどう寄り添う?
でもね、イヤ!ってなかなか言えない、私たち日本人。子どもの頃から、自分の気持ちよ
りも周囲に合わせることを良しと刷り込まれてきたことも一因かもしれませんね。
「僕が遊んでたおもちゃを、隣にいる子が取ろうとしてきたんだ。夢中で遊んでたのに取
られるの嫌!なのに、ママは貸してあげなさいって言う。譲ってあげるとママは褒めてく
れる。もっと遊びたいって僕の気持ち、わかってほしかったなぁ。」
こどもルームでのやり取りを眺めながら、2歳児のこんな心の声が…。この子の心の声に、あなたらならどう寄り添いますか?
悪いのは被害者?
人通りの少ない路地に置かれた立て看板「チカンに注意」
女性を守るための注意喚起は必要だからと、何も疑問に思わない方も多いかもしれません。でもね、注意が足りずにチカンにあった被害者が悪いのでしょうか?「なぜ、そんな暗い夜道を一人で歩いていたの?露出の多い服を着てたからなんじゃない?」被害にあって苦しんでいる人は、無意識に出る心無い言葉で更に傷つけられ、自分を責めます。
ママたちに知っておいてほしいのは、もしわが子がそんな事件にあった時にかける言葉は
「あなたは何も悪くない」。
そして、地域で立て看板を置くなら「チカンに注意」ではなく「チカンは犯罪です!」
女性や子ども、弱者が安心して暮らせる社会を創るのは、自己責任を当たり前としない、私たちのそんな人権意識からだと思います。
自分を褒めるのは悪いこと?
私は今、子どもの声を聴く「チャイルドライン」
チャイルドラインとは | チャイルドライン® 18さいまでの子どもがかけるでんわ (childline.or.jp)
の活動のお手伝いや、後輩県職員の相談
に乗る仕事をしています。
そんな中で少し心配に思うのは、とっても頑張ってるのに、自分を認められない、自分な
んか…と悲観、否定する子どもたちの存在です。理想どうりに完璧な状態ではない自分は
ダメなんだと。私たちが思う「謙遜」とかではないんです。
まず、子どもの声に寄り添う「傾聴」、そして大人が自分を大切に
私たち大人にできることは、まず、子どもの心の声に寄り添う「傾聴」だと思っています
。
子どもは、自分のありのままの言葉や気持ちを否定しないで受け止めてくれた、自分を
受け入れてくれたという経験の積み重ねで、自分を大切に思えるのではないでしょうか。
人権って、人が生きていくためのあたりまえの権利です。
自分も大切、そして、あなたも同じように大切。
奥が深くて難しそうに感じる人権だけど、日々の暮らしの中でいろんな所に考えるヒントがあります。
子育てや夫婦間での「モヤモヤ」「イライラ」の原因を考えるのも、実は人権の学びなんです。
マイナスの感情を抱える自分のことも、ありのまま受け止めてみましょう。
大人がまず、自分自身を認め、好きでいることから始めませんか♡
そのための学びの機会「大分県人権入門講座」も、ぜひ一緒に受講しませんか?
このコラムを書いた人
御手洗 洋子
大分県人権啓発講師
元大分県生活環境部審議監
みなさん、こんにちは。御手洗洋子と申します。
今年3月に大分県庁を定年退職し、今は、後輩の県職員の相談に乗ったり、子どもの声を聴くボランティア活動の運営をお手伝いしたり、県の人権啓発講師など、毎日、楽しく駆け回っています。唯一の趣味、真玉海岸のマテ貝堀りが、今年は禁止で悲しいです!