先輩多胎ママたちが、自分の経験を元に後輩多胎ママたちのサポートをする多胎ピアサポート事業が、令和4年度から大分県でもスタートしました。
多胎ピアサポーターとは、多胎児子育てを経験したママたちからなるサポーターのこと。
今年度7月の多胎ピアサポーター養成講座を受講した多胎ママたちが、より良いピアサポーターになるべく、フォローアップ研修に臨みました。
自己紹介。ピアサポーターになったきっかけとは?
明るい表情で研修会場に来た8名のピアサポーターたち。「ママ集まれ!」代表のもとむろの挨拶で研修がスタートしました。
「研修で学びを深めると同時に、ピアサポーター同士で仲良くなってもらいたい」という主催者の想いから、まずは2班に分かれ、4名ずつのグループで自己紹介をしていきます。
ピアサポーター個人の年齢や子どもの兄弟構成、ピアサポーターになったきっかけも違うため、お互いがどのような環境なのかを話します。
- 一番大変なときに自分や旦那の親に頼れなくて大変だった
- 双子に手を取られてお兄ちゃんに手をかけてあげられなかった
- 多胎サークルを通して先輩にたくさんパワーをもらえた
自己紹介で、多胎ママにしかわからない大変だったことや楽しかったことに共感した様子。ピアサポーターたちはすでに分かり合えたような雰囲気が出ていて、一体感が生まれていました。
みんなそれぞれ境遇が違うけど、自分自身が悩んだ経験から後輩多胎ママを手助けしたい。その共通した想いが多胎ピアサポーターになるきっかけになったようです。
フォローアップ研修開始
「mom&babysalon en」の森永助産師より
自分の言葉で伝えること
自己紹介が終わると森永助産師の研修が始まりました。「今日は皆さんが主役なので、たくさんお話をしていただきたいと思っています」と言う森永助産師。
今回の研修では「視点を変えることで自分のことを整理しながら自分自身を知る時間や、ほかの人の経験を聴く時間を持つこと。それらを通して自分の言葉にし、伝える練習をしたい」とのことでした。
伝えることを念頭に置いたワーク
習ったことを頭に入れて、それぞれが自分の経験などを話します。ピアサポーターでも個々の性格が違い、もともとおしゃべりが好きな人もいれば話すのが得意ではない人も。習った内容は同じでもそれぞれの課題は違うように見え、たどたどしいながらも一生懸命に相手に伝えようとする様子が見られました。
グループワークを見ていると驚いたことがありました!4名ずつの2班に分かれて一人ひとりの話が終わった後、グループ内の人を入れ替えてもう1周同じ内容を話したところ、1周目よりもうまく話せるようになっていたのです。ピアサポーターたちも自分の話がうまくなっているのを感じているようでした。
それはピアサポーターたちが特別な能力を持っているからではなく、一度話したことで頭の中が整理されて自分自身を理解できたことが大きかったようです。
多胎ピアサポートチーム、oita tatai mom代表の田中より
傾聴の方法で相手の気持ちも変わる
後半は、多胎ピアサポートチーム、oita tatai mom代表の田中の研修です。
大分のママ集まれ!多胎児ママサークルリーダーをつとめながら、昨年度からピアサポーターとしても活動をしている田中。田中自身も7歳三つ子の多胎ママです。
初めに今年7月におこなわれたピアサポーター養成講座の振り返りがあり、次に今回の研修に入りました。傾聴の方法がテーマです。
研修の中で田中ともとむろが数パターンの会話をし、このやりとりはどのように感じるかをピアサポーターたちに問いかけました。数人にどのように感じたか答えてもらい、傾聴の方法で相手がもっと話したいかどうかが変わることがわかりました。
聴くことって意外と難しい
数パターンの会話をした後、2人1組でワークに入ります。今習ったことを頭に入れて傾聴の練習をしました。
- おしゃべりが好きだからいつもたくさん話してしまうけど、今回は聴くことに徹した。相手の話が頭に入ってくるし、今習ったことを自分がされたら嬉しいから、聴くことは本当に大切だと思った。
- 今習った傾聴方法のいくつかはいつもしていたけど、していないこともあった。頭で理解しても実際実行するのは難しいと感じた。
ワーク後はそのような感想も聞けて、一人ひとりが悩みながらも真剣に取り組んでいるのが伝わりました。
家族や友達と会話をしているときに、自分がたくさん話していたことに気が付いたという人もいて、相手の話を聴くことで自分を知る良い機会にもなったようです。
自分の経験を誰かのために活かせたら
自分自身が多胎で苦労した経験があるからこそ、悩んでいる多胎ママたちを助けたい。その想いを持ったピアサポーターが集まって勉強をする多胎ピアサポーターフォローアップ研修。
研修を通して同じような経験を持つ多胎ママたちの話を聴き、自分自身のことを話すことで、終わったときにはそれぞれが自分の中の何かを発見できたようでした。それが何かは個人の性格や環境によって違うもので、決して1つのことだけではありませんが、サポーターたちに共通していることは「自分の経験を誰かのために活かせたら」という想い。
このフォローアップ研修を通してステキな多胎ピアサポーターになってほしいと思います。
気軽にピアサポートが受けられる制度が大分県にもできたので、多胎妊婦さんや多胎ママになる皆さまはぜひご利用ください!
大分県多胎ピアサポーターのご紹介
大分県多胎ピアサポート事業のご紹介です。
文:ライターHitomi
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