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「ひとり親でもひとりじゃない」どんな親子も置き去りにしない、ワクワクピースのひとり親家庭支援

ワクワクピース集合写真

大分市稙田地区を拠点に学童保育やフリースクール、学習塾、地域食堂など、さまざまな子育て支援活動を展開するNPO法人「子育て応援 ワクワクピース」さん。前回は理事長の漆間文代さんと娘の一夏さんに「わくわく学童保育」についてのお話を伺いましたが、今回はひとり親家庭(シングルママ・シングルパパ)に対する支援活動をご紹介します。

外からは見えない難しさ。「助けて」が言えない家庭に支援を届けるために

――ひとり親家庭の支援事業をはじめたきっかけを教えてください。

表立って活動するようになったのは2020年あたりですね。
取り組み自体は昔からやっていたことですが、あまり発信してなかったんです。でもコロナ禍で毎日の食事にも困るような困窮世帯が増えたときに気づかされました。
積極的に発信しないと救いたい人が救えない。孤立しがちなひとり親に支援の手が届かない。
生活が苦しくても「助けて」と言えず、支援に繋がることが難しい人も少なくありません。
そこでSNSを活用して、ひとり親家庭の支援についても発信するようになりました。

▲これまで集約していた活動を細分化、可視化することで情報アクセスを向上

――活動としては昔から行なっていたことなんですね。

はい、原点は私が新任教員として関わった高校の生徒達です。
当時、勤務先の高校は荒廃状態で学級崩壊を起こしていました。母子家庭や児童養護施設から通学している生徒も多くて、親の顔を見たことがない子、弟や妹の面倒をみなきゃいけないヤングケアラー、ネグレクトや虐待を受けていた子など、問題のある家庭環境下におかれた生徒が多かったんです。
彼らに対して、当時25歳の自分にできることといえば話を「聴く」こと。

自宅で一緒にごはんを作ってワイワイ話をするうちに、胸に秘めた悩みを明かしてくれて。
信頼できる大人がいなくて誰にも頼れなかった孤独を知りました。でも幼い頃から心に傷を負った生徒達を救いたくても、高校生に対して教員ができることは限られます。その心残りから、親子でいつでも頼れる場所を作りたいと思いました。それが「ワクワクピース」。学童からフリースクール、学習支援、こども食堂やひとり親支援など、アプローチはいろいろ用意していますが、どの活動も「親子が孤独を抱え込まないように」という方向性は同じなんです。

▲おやつは各自好きなものを自由に食べられる。70人もの利用者がいると物資はいくらあっても足りない

子どもが “子どもらしくいられること” が心の安定を生む

――ひとり親交流会ではどんなことをしているんでしょうか?

参加者は子どもも含めて約40〜50人。年齢層はかなり幅広くて、シングルのパパさんもいらっしゃいます。みんなでお菓子を食べながら雑談したり、悩みを相談しあったり、先日は人生ゲームや野球盤で大人が白熱しました(笑)。子どもは子ども同士で打ち解けて遊んでますね。

▲地域食堂や交流会の参加者に無料配布している食料品と日用品

――ひとり親の支援活動によって、子どもにはどんな影響があると思いますか?

子どもは親の感情を敏感に察知します。
家では要求を我慢しがちな子も、ここでは「あのお菓子が食べたい、このおもちゃで遊びたい、これがしたい」って、自分を出して甘えることができるんです。それに交流会で楽しそうに過ごすママとパパを見ることで、子どもが安心できる。その子にとって心から信頼できる人や安心できる場所があって、お腹も心も満たされる経験をした子は心が安定します。子どもとも信頼関係が築けると、親が言えない「助けて」を子どもが発してくれることも多いんです。
SOSをキャッチできれば、私たちがサポートの手をつなぐことができます。

▲本棚には育児や発達に関する専門書も並ぶ

必要なのは親のケア弱音を吐いていいし、もっと人を頼っていい。

――ひとり親、これからひとり親になるプレシングルへのメッセージをお願いします。

ひとり親でもひとりで頑張らなくていいんです。
自分を犠牲にしなくていい。完璧を求める必要もない。あなたを助けてくれる人は必ずいるから、弱音を吐いたり、相談できる人を見つけること。話を聞けば私たちも一緒に考えることができますし、ひとり親同士のつながりができて、ちょっとしたことでも気兼ねなく話せる場があれば、仲間のいる安心感が心のゆとりにつながると思います。

▲壁には漫画がズラリ。話題の人気作から社会派・アングラ系まで圧巻の品揃え!
▲「助けてくれる人は絶対にいるから」と力強く話す漆間文代さん(中央)。一夏さん(左)、代表もとむろ

”ワクワクピースにくればどうにかなる、どうにかしてくれる”
そう思って、ふらっと気軽にお子さんと遊びに来てみてください。
おしゃべりしたいとか、漫画を読みたいとかでもOK!
日によっては私の大盛りカレーが振る舞われます(笑)。

2024年10月の交流会は10月20日(日)、テーマはハロウィンパーティです。
居住地域に関係なくひとり親家庭であればどなたでもご参加いただけます。子どもと一緒に楽しみましょう!(完全予約制)

写真・文:山口紗佳

団体概要

NPO法人 子育て応援ワクワクピース
住所:〒870-1161 大分市木上77-1(事務局)
電話:090-3015-8158 (漆間)
HP:https://wakuwakupeace.net/
Instagram:https://www.instagram.com/wakuwaku.peace/
X:https://x.com/wakuwakupeace_
Facebook:https://www.facebook.com/wakuwakupeace/

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